高校物理 電磁気学

目次

クーロン力(静電気力)

電荷 q1,q2{\displaystyle q_{1},q_{2}} の点電荷を置くと、点電荷の間にはF=kq1q2r2

{\displaystyle F=k{\frac {q_{1}q_{2}}{r^{2}}}}

 (1.1)

の力が働く。ここで r{\displaystyle r} は点電荷の間の距離である。この力をクーロン力(静電気力)という。k{\displaystyle k}はクーロン力の比例定数(電気クーロン定数、静電定数)と呼ばれ、その値は電荷の周りを満たしている物質により異なる。真空中での比例定数は k0=8.99×109 Nm2/C2{\displaystyle k_{0}=8.99\times 10^{9}\,\ \mathrm {N\cdot m^{2}/C^{2}} } である。

F>0{\displaystyle F>0} のときは、q1, q2{\displaystyle q_{1},\ q_{2}} は同符号なので、点電荷に働く力は斥力であり、F<0{\displaystyle F<0} のときは、q1, q2{\displaystyle q_{1},\ q_{2}} は異符号なので、点電荷に働く力は引力である。

クーロン力定数の代わりに k=14πε{\displaystyle k={\frac {1}{4\pi \varepsilon }}} で定義される定数 ε{\displaystyle \varepsilon } を使うほうが今後の計算がしやすくなる。ε{\displaystyle \varepsilon } を物質の誘電率という。真空中のクーロン力定数に対応する誘電率は k0=14πε0{\displaystyle k_{0}={\frac {1}{4\pi \varepsilon _{0}}}} で定義され、電気定数あるいは真空の誘電率という。

電場

クーロンの法則によれば、点電荷の間には静電気力が働く。これは点電荷は離れた場所にある電荷に直接力を及ぼすという考え方である。このような考え方を遠隔作用という。しかし、電荷はどのようにして離れた場所に力を及ぼすのだろうか。点電荷が空間に対して電場(電界)という場を作り出し、その電場がはなれた位置にある電荷に力を及ぼすという考え方もできる。このような考え方を近接作用という。

位置ベクトルr{\displaystyle {\overrightarrow {r}}}における電場ベクトルE(r){\displaystyle {\vec {E}}({\overrightarrow {r}})} は、電荷に対して静電気力を与える場として定義される。電場中に試験電荷 q{\displaystyle q} を置くとき、試験電荷が受ける静電気力の大きさは電荷の大きさに比例するから、1C{\displaystyle 1\,\mathrm {C} } あたりの静電気力として電場を定義する。試験電荷が受ける静電気力を F(r){\displaystyle {\overrightarrow {F}}({\overrightarrow {r}})} とするとき、電場はE(r)=F(r)q

{\displaystyle {\overrightarrow {E}}({\overrightarrow {r}})={\frac {{\overrightarrow {F}}({\overrightarrow {r}})}{q}}}

(1.2)

で定義される。電場の単位はニュートン毎クーロン N/C{\displaystyle \mathrm {N/C} } である。(1.2)を変形するとF(r)=qE(r)

{\displaystyle {\overrightarrow {F}}({\overrightarrow {r}})=q{\overrightarrow {E}}({\overrightarrow {r}})}

. (1.2a)

(1.2a)は、電場E{\displaystyle {\overrightarrow {E}}}中に置かれた電荷q{\displaystyle q}が受ける力を指す。

点電荷の作る電場

正電荷の周りの電場の向き

以上のように定義された電場がどのように生み出されるのかについて考えよう。r0{\displaystyle {\vec {r_{0}}}}の位置に静止した点電荷 Q{\displaystyle Q} があり、r{\displaystyle {\overrightarrow {r}}} の位置に試験電荷 q{\displaystyle q} を置くとき、試験電荷が受ける静電気力は

F(r)=kQqrr0|rr0|3{\displaystyle {\overrightarrow {F}}({\overrightarrow {r}})=kQq{\frac {{\overrightarrow {r}}-{\vec {r_{0}}}}{\left|{\overrightarrow {r}}-{\vec {r_{0}}}\right|^{3}}}}

である。したがって、その点における電場はE(r)=F(r)q=kQrr0|rr0|3

{\displaystyle {\overrightarrow {E}}({\overrightarrow {r}})={\frac {{\overrightarrow {F}}({\overrightarrow {r}})}{q}}=kQ{\frac {{\overrightarrow {r}}-{\vec {r_{0}}}}{\left|{\overrightarrow {r}}-{\vec {r_{0}}}\right|^{3}}}}

 (1.3)

となる。ただし、電場の方向は位置ベクトルと平行で E>0{\displaystyle E>0} のとき外向き、E<0{\displaystyle E<0} のとき内向きである。

重ね合わせの原理

電場の重ね合わせ

複数の点電荷がつくる電場 E{\displaystyle {\overrightarrow {E}}} は、それぞれの点電荷がその点につくる電場 Ei{\displaystyle {\vec {E_{i}}}} のベクトル和である。これを電場の重ね合わせの原理という。E=E1+E2+

{\displaystyle {\overrightarrow {E}}={\vec {E_{1}}}+{\vec {E_{2}}}+\cdots }

. (1.4)

電気力線

電気力線とは電場の方向を接線とする曲線である。

電場に垂直な平面を貫く電気力線の単位面積あたりの本数は、電場の強さの値に等しいものとする

電気力線には、以下のような性質がある。

  • 電気力線の接線は電場の方向に等しい。従って、電気力線が枝分かれしたり交わることはない。
  • 正電荷から出て負電荷に入る
  • 電場が強い場所では密である

物理基礎で扱った静電誘導・静電遮蔽・誘導分極は、電気力線を用いることでベクトルの引き算として説明することができる。

ある曲線を貫く電気力線の密度を与える概念として電束密度がある。電束密度 D{\displaystyle D} は物質の誘電率 ε{\displaystyle \varepsilon } を使って D=εE{\displaystyle D=\varepsilon E} で定義される。また、電束は面積が S{\displaystyle S} の曲面と電束密度 D{\displaystyle D} が垂直で一定であるときに、Φe=SD=εSE{\displaystyle \Phi _{e}=SD=\varepsilon SE} で定義される。

電荷 Q{\displaystyle Q} の点電荷から出る電束を考えよう。点電荷を中心とし半径が r{\displaystyle r} の球面を考える。この面での電場の強さは E=14πεQr2{\displaystyle E={\frac {1}{4\pi \varepsilon }}{\frac {Q}{r^{2}}}} である。電束密度は D=εE=14πQr2{\displaystyle D=\varepsilon E={\frac {1}{4\pi }}{\frac {Q}{r^{2}}}} となる。また、球の表面積は 4πr2{\displaystyle 4\pi r^{2}} であるから、球面を貫く電束は Φe=Q{\displaystyle \Phi _{e}=Q} となる。

これを一般化すると次のガウスの法則を得る。

任意の閉曲面(ガウス面)を貫く電束は、閉曲面の内部にある電荷の和 Q に等しい。

式で書くとSEdS=Qε{\displaystyle \oiint _{S}{\vec {E}}\cdot d{\vec {S}}={\frac {Q}{\varepsilon }}}となる。ここで、左辺はガウス面を貫く電気力線の本数に等しい。則ち、電気力線の総数は電束を誘電率で割った値である。

電位

電場中に置かれた電荷が静電気力(クーロン力)を受けて運動するとき,静電気力は電荷に対して仕事する。静電気力は保存力なので,その仕事は重力がする仕事と同様,始点と終点の位置によって決まり,途中の経路によらない。したがって,重力と同様に静電気力による位置エネルギーが定義できる。電場において,重力場における「高さ」に対応する概念が電位である。

xy{\displaystyle xy}平面を水平面に,鉛直上向きにz{\displaystyle z}軸をとり,z{\displaystyle -z}方向を向いた一様な電場E=(0, 0, E){\displaystyle {\overrightarrow {E}}=(0,\ 0,\ -E)}を考える。この電場から電荷q{\displaystyle q}の受ける力はqE{\displaystyle q{\overrightarrow {E}}},これに逆らって電荷をゆっくり運ぶ力はqE=(0, 0, qE){\displaystyle -q{\overrightarrow {E}}=(0,\ 0,\ qE)}.この電荷がr{\displaystyle r}の位置で持つ位置エネルギーは,この力qE{\displaystyle -q{\overrightarrow {E}}}q{\displaystyle q}を基準点(原点O)からr{\displaystyle {\overrightarrow {r}}}まで運ぶ仕事でそれは運ぶ経路によらずU(r)=qEr=qEz{\displaystyle U({\overrightarrow {r}})=-q{\overrightarrow {E}}\cdot {\overrightarrow {r}}=qEz}.そこで電位を単位電荷あたりの位置エネルギーV(r)=U(r)÷q=Ez

{\displaystyle V({\overrightarrow {r}})=U({\overrightarrow {r}})\div q=Ez}

で定義する。

重力が等高面(位置エネルギー一定の面)に垂直で下(位置エネルギーの低くなる向き)を向いているのと同様,電場は等電位面に垂直で電位の低くなる向きを向いている。

一般の静電場の場合も同様で,r{\displaystyle r}位置で電荷q{\displaystyle q}がもつ位置エネルギーが,電場から受けるqE{\displaystyle q{\overrightarrow {E}}}に逆らってqE{\displaystyle -q{\overrightarrow {E}}}を加え,基準点r0{\displaystyle {\vec {r_{0}}}}からその点r{\displaystyle {\overrightarrow {r}}}まで電荷をゆっくり運ぶ仕事UC(r)=r0rqEdr=qr0rEdr

{\displaystyle U_{\mathrm {C} }({\overrightarrow {r}})=\int _{r_{0}}^{r}-q{\overrightarrow {E}}\cdot d{\overrightarrow {r}}=-q\int _{r_{0}}^{r}{\overrightarrow {E}}\cdot d{\overrightarrow {r}}}

 (1.5)

で定義される。静電気力が保存力であるためこの積分はr0{\displaystyle {\vec {r_{0}}}}からr{\displaystyle {\overrightarrow {r}}}への経路によらない。そこで,電位単位電荷あたりの静電気力による位置エネルギーV(r)=U(r)q=r0rEdr

{\displaystyle V({\overrightarrow {r}})={\frac {U({\overrightarrow {r}})}{q}}=-\int _{r_{0}}^{r}{\overrightarrow {E}}\cdot d{\overrightarrow {r}}}

 (1.6)

で定義する。つまり,ある点の電位とは,基準点からその点まで電荷をゆっくり運ぶために外力が単位電荷あたりにせねばならぬ仕事のことである。この定義より質量m{\displaystyle m},電荷q{\displaystyle q}の粒子に対する電場中でのエネルギー保存則は次のように表される。12mv2+qV=

{\displaystyle {\frac {1}{2}}mv^{2}+qV=}

一定.(1.7)

また定義より,電荷q{\displaystyle q}を電場の力qE{\displaystyle q{\overrightarrow {E}}}に抗してr1{\displaystyle {\vec {r_{1}}}}からr2{\displaystyle {\vec {r_{2}}}}まで運ぶために外力のする仕事WEF{\displaystyle W_{\mathrm {EF} }}WEF=q(V(r2)V(r1))=qr1r2Edr

{\displaystyle W_{\mathrm {EF} }=q(V({\vec {r_{2}}})-V({\vec {r_{1}}}))=-q\int _{\vec {r_{1}}}^{\vec {r_{2}}}{\overrightarrow {E}}\cdot d{\overrightarrow {r}}}

 (1.8)

で与えられる。このV(r2)V(r1){\displaystyle V({\vec {r_{2}}})-V({\vec {r_{1}}})}電位差又は電圧という。つまり2点間の電位差(電圧)とは電場に抗して電荷をその2点間で運ぶために単位電荷あたりの要する仕事である。

点電荷Q{\displaystyle Q}が原点にあるときの電位を求めよう。このとき電場は(1.3)で与えられるから,(1.6)はV(r)=r0rkQr2(erdr)=r0rkQr2dr=kQ(1r1r0)

{\displaystyle V({\overrightarrow {r}})=-\int _{r_{0}}^{r}k{\frac {Q}{r^{2}}}({\vec {e}}_{r}\cdot d{\vec {r}})=-\int _{r_{0}}^{r}k{\frac {Q}{r^{2}}}dr=kQ\left({\frac {1}{r}}-{\frac {1}{r_{0}}}\right)}

となる。基準点を無限遠(r0{\displaystyle r_{0}\to \infty })にとると,点電荷Q{\displaystyle Q}がとる電場の電位はV(r)=kQr

{\displaystyle V({\overrightarrow {r}})=k{\frac {Q}{r}}}

. (1.9)

なお、電位はϕ,{\displaystyle \phi ,} 電圧はU{\displaystyle U}で書くこともある。

  • 等電位面

コンデンサー

コンデンサーの充電の仕組み

図のように2枚の金属板を平行に向かい合わせて、電源をつなげると、自由電子が導線を通り金属板に電荷が蓄えられる。

平行板コンデンサーの2つの金属板にそれぞれ Q, Q{\displaystyle Q,\ -Q} の電荷が蓄えられているとき、極板間の電位差 V{\displaystyle V} は次の関係がある。Q=CV

{\displaystyle Q=CV}

ここで、C{\displaystyle C} をコンデンサーの電気容量という。 電気容量の単位はファラド F{\displaystyle \mathrm {F} } が使われる。F=C/V{\displaystyle \mathrm {F} =\mathrm {C/V} } である。

平行板コンデンサーの電気容量

平行板コンデンサーの電場

極板の間隔 d{\displaystyle d} で面積 S{\displaystyle S} の平行板コンデンサーの電気容量 C{\displaystyle C} を求める。

コンデンサーに電荷 Q{\displaystyle Q} が蓄えられており、このときの極板間の電位差を V{\displaystyle V} とする。このとき、極板の間には極板に垂直で一様な電場 E{\displaystyle E} が発生する。極板の外には電場は存在しないとする。

極板間の電場は E=Vd{\displaystyle E={\frac {V}{d}}} である。

Q{\displaystyle Q} に帯電しただけ極板を囲むような閉曲面(直方体を考えると計算しやすい)を考える。この閉曲面から出る電束は Φe=SεE=εSVd{\displaystyle \Phi _{e}=S\varepsilon E=\varepsilon S{\frac {V}{d}}} である。

また、ガウスの法則より、 Φe=Q{\displaystyle \Phi _{e}=Q} である。この2つが等しいからQ=εSVd

{\displaystyle Q=\varepsilon S{\frac {V}{d}}}

より、 C=QV=εSd{\displaystyle C={\frac {Q}{V}}=\varepsilon {\frac {S}{d}}} を得る。

コンデンサーの蓄えるエネルギー

電気容量 C{\displaystyle C} のコンデンサーが Q{\displaystyle Q} の電荷を蓄え、極板間の電位差が V{\displaystyle V} のとき、コンデンサーの蓄えるエネルギー U{\displaystyle U} を求める。

コンデンサーに電荷 Q{\displaystyle Q'} の電荷が蓄えられたとき、極板間の電位差は V=QC{\displaystyle V'={\frac {Q'}{C}}} である。この状態で微小電荷 dQ{\displaystyle dQ'} を運ぶために必要な仕事は VdQ=QCdQ{\displaystyle V'dQ'={\frac {Q'}{C}}dQ'} である。これを Q{\displaystyle Q'} が 0 から Q{\displaystyle Q} になるまで積分すればコンデンサーの蓄えるエネルギー U{\displaystyle U} が求まる。U=0QQCdQ=[Q22C]0Q=12Q2C

{\displaystyle U=\int _{0}^{Q}{\frac {Q'}{C}}dQ'=[{\frac {Q'^{2}}{2C}}]_{0}^{Q}={\frac {1}{2}}{\frac {Q^{2}}{C}}}

したがって、U=12Q2C=12CV2=12QV{\displaystyle U={\frac {1}{2}}{\frac {Q^{2}}{C}}={\frac {1}{2}}CV^{2}={\frac {1}{2}}QV} である。

コンデンサーの接続

並列接続

コンデンサーを並列につなげたとき、このコンデンサー全体としてみたときの電気容量を求める。

電気容量 C1,C2{\displaystyle C_{1},\,C_{2}} の電気容量を並列につなげ、電圧 V{\displaystyle V} の電源をつなげる。

それぞれのコンデンサーに蓄えられる電荷 Q1, Q2{\displaystyle Q_{1},\,\ Q_{2}} はQ1=C1V,Q2=C2V

{\displaystyle Q_{1}=C_{1}V,\,Q_{2}=C_{2}V}

 である。

コンデンサーが蓄えた電荷の合計は Q1+Q2=C1V+C2V=(C1+C2)V{\displaystyle Q_{1}+Q_{2}=C_{1}V+C_{2}V=(C_{1}+C_{2})V} である。

コンデンサー全体としてみたときの合成電気容量 C{\displaystyle C} について Q1+Q2=CV{\displaystyle Q_{1}+Q_{2}=CV} となるので、これと比較してC=C1+C2

{\displaystyle C=C_{1}+C_{2}}

を得る。

一般に、各iについてQi:Ci{\displaystyle Q_{i}:C_{i}}という比は一定となる。

直列接続

コンデンサーを直列につなげたとき、このコンデンサー全体としてみたときの電気容量を求める。

電気容量 C1,C2{\displaystyle C_{1},\,C_{2}} の電気容量を直列につなげ、電圧 V{\displaystyle V} の電源をつなげる。2つのコンデンサーが蓄える電荷は等しい[1]ので、これを Q{\displaystyle Q} とする。それぞれのコンデンサーの電圧 V1, V2{\displaystyle V_{1},\ V_{2}} はV1=QC1,V2QC2

{\displaystyle V_{1}={\frac {Q}{C_{1}}},\,V_{2}{\frac {Q}{C_{2}}}}

である。この和が電源の電圧 V{\displaystyle V} に等しいのでV=V1+V2=QC1+QC2

{\displaystyle V=V_{1}+V_{2}={\frac {Q}{C_{1}}}+{\frac {Q}{C_{2}}}}

コンデンサー全体としてみたときの合成電気容量 C{\displaystyle C} は V=QC{\displaystyle V={\frac {Q}{C}}} となるので、これと比較して1C=1C1+1C2

{\displaystyle {\frac {1}{C}}={\frac {1}{C_{1}}}+{\frac {1}{C_{2}}}}

である[2]

一般に、各iについてVi:1Ci{\displaystyle V_{i}:{\frac {1}{C_{i}}}}という比は一定となる。

金属板や誘電体を差し込んだコンデンサー

誘電体の誘電率 ε{\displaystyle \varepsilon } と真空の誘電率 ε0{\displaystyle \varepsilon _{0}} の比 εr=εε0{\displaystyle \varepsilon _{\mathrm {r} }={\frac {\varepsilon }{\varepsilon _{0}}}} を比誘電率という。

真空中で極板面積 S{\displaystyle S}、極板間隔 d{\displaystyle d} の平行板コンデンサーの電気容量 C0{\displaystyle C_{0}} は C0=ε0Sd{\displaystyle C_{0}=\varepsilon _{0}{\frac {S}{d}}} である。

このコンデンサーの極板間に比誘電率 εr{\displaystyle \varepsilon _{\mathrm {r} }} の誘電体をすきまなく挿入したとき、コンデンサーの電気容量 C{\displaystyle C} はC=εrε0Sd=εrC0

{\displaystyle C=\varepsilon _{\mathrm {r} }\varepsilon _{0}{\frac {S}{d}}=\varepsilon _{\mathrm {r} }C_{0}}

である。

球形コンデンサー

円筒コンデンサー

直流回路

電流

導体断面を単位時間あたりに通過する電気量(電荷)を電流(英: electric current)という〔単位:A(アンペア)〕。時刻t{\displaystyle t}において,電気量をQ(t){\displaystyle Q(t)}とすると,微小時間Δt{\displaystyle {\mathit {\Delta }}t}間に電荷がQ(t+Δt)Q(t){\displaystyle Q(t+{\mathit {\Delta }}t)-Q(t)}通過するとき,電流I(t){\displaystyle I(t)}I(t)=limΔt0Q(t+Δt)Q(t)Δt=dQ(t)dt

{\displaystyle I(t)=\lim _{{\mathit {\Delta }}t\to 0}{\frac {Q(t+{\mathit {\Delta }}t)-Q(t)}{{\mathit {\Delta }}t}}={\frac {dQ(t)}{dt}}}

である。また,断面積 S{\displaystyle S} ,単位体積あたりの自由電子数がn{\displaystyle n}の導体を電流が流れるとき,その電流の大きさ I{\displaystyle I} は電気素量を e{\displaystyle e} ,自由電子の速さを v{\displaystyle v} としてI=enSv

{\displaystyle I=enSv}

である。

電池の内部抵抗

電池の内部にもわずかに電気抵抗は存在する。これを電池の内部抵抗という。

起電力 E{\displaystyle E} 、内部抵抗 r{\displaystyle r} の電池に電流 I{\displaystyle I} が流れるとき、電池の端子電圧 V{\displaystyle V} は、内部抵抗による電圧降下は rI{\displaystyle rI} であるからV=ErI

{\displaystyle V=E-rI}

である。

ジュール熱と消費電力

電圧をV{\displaystyle V},電流をI{\displaystyle I}とすると,単位時間あたりの発熱量(ジュール熱)P{\displaystyle P}P=IV

{\displaystyle P=IV}

.

起電力E{\displaystyle E}、内部抵抗r{\displaystyle r}の電池にR{\displaystyle R}の抵抗をつなぐとき、抵抗での電位差V{\displaystyle V}はオームの法則よりV=RI{\displaystyle V=RI},回路に流れる電流I{\displaystyle I}I=Er+R{\displaystyle I={\frac {E}{r+R}}}であるから、抵抗での消費電力 P{\displaystyle P} はP=RI2=RE2(r+R)2

{\displaystyle P=RI^{2}={\frac {RE^{2}}{(r+R)^{2}}}}

である。

ここで、R{\displaystyle R} を変えたときの消費電力P{\displaystyle P}の最大値を求める。P=RE2(r+R)2=E2r2R+2r+R()

{\displaystyle P={\frac {RE^{2}}{(r+R)^{2}}}={\frac {E^{2}}{{\frac {r^{2}}{R}}+2r+R}}\cdots \cdots (*)}
  • 解1

()

{\displaystyle (*)}

の両辺をR

{\displaystyle R}

で微分するとdPdR=E2(r2R2+1)(r2R+2r+R)2=E2(r2R2)(r2+2Rr+R2)2=E2(rR)(r+R)3

{\displaystyle {\frac {dP}{dR}}={\frac {-E^{2}(-{\frac {r^{2}}{R^{2}}}+1)}{({\frac {r^{2}}{R}}+2r+R)^{2}}}={\frac {E^{2}(r^{2}-R^{2})}{(r^{2}+2Rr+R^{2})^{2}}}={\frac {E^{2}(r-R)}{(r+R)^{3}}}}

.dPdR=0

{\displaystyle {\frac {dP}{dR}}=0}

のときR=r

{\displaystyle R=r}

.よってR>0

{\displaystyle R>0}

におけるP

{\displaystyle P}

の増減表は以下のようになる。R(0)rdPdR +  0  P E24r

{\displaystyle {\begin{array}{c|c}R&(0)\cdots \;r\;\cdots \\\hline {\frac {dP}{dR}}&\quad \ +\ \ 0\ \ -\\\hline P&\quad \ \nearrow {\frac {E^{2}}{4r}}\searrow \\\end{array}}}

 よって,R=r

{\displaystyle R=r}

のとき極大値E24r

{\displaystyle {\frac {E^{2}}{4r}}}

をとる。

  • 解2

相加平均・相乗平均よりr2R+R2r2RR=2r

{\displaystyle {\frac {r^{2}}{R}}+R\geq 2{\sqrt {{\frac {r^{2}}{R}}\cdot R}}=2r}

. (等号成立は r2R=R

{\displaystyle {\frac {r^{2}}{R}}=R}

 すなわち R=r

{\displaystyle R=r}

 のとき)

つまり、 R=r{\displaystyle R=r} で r2R+R{\displaystyle {\frac {r^{2}}{R}}+R} は最小値 2r{\displaystyle 2r} を取る。すなわち、P=E2r2R+R+2r{\displaystyle P={\frac {E^{2}}{{\frac {r^{2}}{R}}+R+2r}}} は最大値 E24r{\displaystyle {\frac {E^{2}}{4r}}} を取る。

キルヒホッフの第1法則

任意の結接点において,流入電流の和は流出電流の和に等しいinflowIi=outflowIi

{\displaystyle \sum _{\mathrm {inflow} }I_{i}=\sum _{\mathrm {outflow} }I_{i'}'}

.

キルヒホッフの第2法則

任意の閉回路に対して,起電力(英: electromotive force)の和は電圧降下(英: voltage drop)の和に等しいclosed circuitVemf=closed circuitVdrop

{\displaystyle \sum _{\mathrm {closed\ circuit} }V_{\mathrm {emf} }=\sum _{\mathrm {closed\ circuit} }V_{\mathrm {drop} }}

.

電流計と電圧計

電流計の仕組み・分流器・電圧計の仕組み・倍率機

抵抗の測定

抵抗率の温度変化

ρt=ρ0(1+αt){\displaystyle \rho _{t}=\rho _{0}(1+\alpha t)}が成り立つ。ただし、α{\displaystyle \alpha } は抵抗の温度係数である。

この式は線膨脹・体膨脹と同じ形である。

メートルブリッジ

ホイートストンブリッジ

電位差計

非直線抵抗

定常状態

半導体

必要があれば高等学校 化学基礎及び高等学校 化学を参照。

半導体の種類

半導体は、導体と絶縁体の中間の通電性を持つ物質である。珪素(シリコン)はその代表格である。

珪素(Si)の結晶はダイヤモンド型共有結合結晶であり、非常に硬く熱に強い。そのため、セラミックとして様々な用途で用いられる。(人工衛星の外壁、庖丁、陶器etc.)詳しくは無機化学を参照。ゲルマニウム(Ge)も共有結合結晶をつくる元素である。Si、Geともに価電子数は4で、これらを互いに共有することによって共有結合をなす。

SiやGeは、常温では抵抗率が大きく通電性が低いものの、高温下では自由電子が生じて通電性が高まる。このような半導体を真性半導体という。真性半導体に微量の不純物を入れると、通電性が高まる。このような半導体を不純物半導体という。


電流の担い手をキャリアという。

真性半導体に微量のアルミニウム(Al)やインジウム(In)などを混ぜたものをp型半導体という。AlやInは価電子を3つしか持たないので、共有結合をするには電子が一個不足し、電子のない所ができる。これを正孔(ホール)という。電場を与えると、電子が移動して正孔を埋める。移った電子がいたところが新たな正孔となるのでまた別の電子が移動し・・・と繰り返すことによりホールが電場の向きに移動し、電流の担い手となる。よって、p型半導体のキャリアは正孔である。p型のpは正孔が正電荷(positive charge)であることに由来する。

真性半導体に微量の燐(P)やアンチモン(Sb)などを混ぜたものをn型半導体という。PやSbは価電子を5つ持つので、4つが共有結合に加わり1つ余ってしまう。この余った1つは結晶を自由に動き回ることによって電流の担い手となる。よって、n型半導体のキャリアは電子である。n型のnは電子が負電荷(negative charge)であることに由来する。

ダイオード

p型とn型を接合(pn接合)し、両端に電極をつけた部品を半導体ダイオードという。p型半導体側をアノード、n型半導体側をカソード、接合した面を接合面という。接合面付近ではキャリアが殆ど存在しない領域が発生し、この領域を欠乏層または空乏層という。欠乏層の両端間には残存キャリアに由来する電位差が発生し、これを拡散電圧という。

半導体ダイオードは一方向にのみ電流を流す作用(整流作用)を持つ。整流作用は、交流電流から直流電流への変換や、AEDが電気ショック前に行う充電などに応用されている。

ダイオードの順方向(アノード→カソードの向き)に電圧を加えると、拡散電圧と逆向きに加わる電場によってp型の中の正孔がn型へ、n型の中の電子がp型へ引かれ、pn接合面で一対づつ結合して消える(再結合)。その一方で、電極からはキャリアが供給され続ける。よって、電流が流れ続ける(順方向バイアス)。

ダイオードの逆方向(カソード→アノードの向き)に電圧を加えると、拡散電圧と同じ向きに加わる電場によってp型の中の正孔はp型側の電極へ、n型の中の電子はn型側の電極へ引かれ、p型で負電荷・n型で正電荷が過剰になって空乏層が広がる。このとき少数キャリアは電源に引き寄せられて空乏層を超え、微小電流のみが流れる(逆方向バイアス)。


半導体に光が当たると半導体を構成する原子から電子が離れ、正孔が生まれる。このとき、pn接合面付近に電位差が生まれるのでn型側の電極に電子、p型側の電極に正孔が集まる。よって、p型が正極、n型が不極の電池となる。このような仕組みの電池を太陽電池という。

太陽電池とは逆に電気を光に変換する半導体部品を発光ダイオードという。砒化ガリウム(GaAs)のような半導体のpn接合に順方向の電圧を加えると、キャリアが再結合する際に発光する。発光ダイオードは太陽電池と同様に光を当てると起電力を生じる。このとき、発光する色と同色の光を当てると起電力が大きくなる。

トランジスタ

電気信号を増幅する働き(増幅作用)を持つ電子部品をトランジスタという。

バイポーラトランジスタ(BJT)は3つの不純物半導体を組合せた部品であり、p型2つの間にn型を挟んだpnp型トランジスタとn型2つの間にp型を挟んだnpn型トランジスタが存在する。バイポーラトランジスタを構成する3つの部分をそれぞれエミッタ(E)、ベース(B)、コレクタ(C)という。バイポーラトランジスタでは電子・正孔の双方がキャリアとして振舞う。

npn型のC-E間に電圧を加えた状態でE-B間に順方向の電圧を加えると、EからBに向かってキャリアが送り込まれ、その大部分はCへと流れ込む。よって、Bの電極に流れる電流はCの電極に流れる電流よりも非常に大きな値となる。これを利用すると、B電流の小さな変化をC電流の大きな変化に変換できる。pnp型でも同様にして増幅作用を確かめられる。

バイポーラトランジスタは、B電流の制御によりCに電流が流れる状態(ON)と全く流れない状態(OFF)を作ることができる。これをトランジスタのスイッチング作用という。

C電流のON-OFFによってデジタル信号を作り出すことができ、計算等の処理を電気回路で行うことができる。


ユニポーラトランジスタ電界効果トランジスタ、FET)はバイポーラトランジスタと異なり、電子・正孔の片方のみがキャリアとして振舞う。

半導体基板の上に絶縁層(二酸化珪素)を挟んで金属電極が載せられた構造のユニポーラトランジスタを金属酸化被膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)という。バイポーラトランジスタのエミッタ・ベース・コレクタに対応する部分をソース(S)、ゲート(G)、ドレイン(D)という。ソース・ドレイン電極にn型・基盤にp型半導体を用いたMOSFETをnチャネルMOSFET(nMOS)、ソース・ドレイン電極にp型・基盤にn型半導体を用いたMOSFETをpチャネルMOSFET(pMOS)という。nMOSのキャリアは電子、pMOSのキャリアは正孔である。

ソースとドレインの間はG電圧の印加に伴うキャリア数の増減によって形成されるチャネル(反転層)を通じて導電する。バイポーラトランジスタがB電流の制御でC電流を調節したように、MOSFETはG電圧の制御によりS-D間の電流を調節する。

nMOSとpMOSを同一基板上で相補的に配置したトランジスタを相補型MOSFET(CMOS)という。

CMOSはバイポーラトランジスタに比べて消費電力が少なく、集積化に適している。そのため、現在最も用いられているトランジスタはCMOSである。

LSI

コンピュータの黎明期には、トランジスタに相当するものとして真空管が用いられていた。これは当時画期的な電子部品だったが、真空管を用いたコンピュータは耐久性が低く、発熱しやすく、装置が巨大になるという欠点を抱えていた。

真空管に代わってトランジスタが用いられるようになると、コンピュータの小型化と演算回路の高速化が進んだ。

その後、多数のトランジスタやコンデンサー、抵抗などの電気素子を小さな基盤上に集積した集積回路(IC)が発明されると、コンピュータの小型化と高性能化は怒濤の早さで進んだ。1000個以上の素子を集積したICを特に大規模集積回路(LSI)というが、2024年現在では10億を超えるトランジスタを実装したLSIが量産されている。

集積回路内の回路素子は、半導体である珪素(Si)が酸化されると絶縁体(SiO2)に変わるという性質を利用している。シリコンウエハースを局所的に酸化し、微小領域を絶縁体で囲む。この中にp型・n型の領域を形成すると、互いに絶縁された多数の微小ユニポーラトランジスタが出来上がる。同じ表面にコンデンサーや抵抗も形成し、これらを配線することでICが完成する。

LSIの高機能化・高性能化・低消費電力化を実現するには、より微細な回路素子を高密度に集積することが求められる。処理工程の精密な制御技術と回路パターン形成のための精密な写真技術の進歩により、2024年現在では30 nmを下回る寸法の回路パターンを持つものも量産されている。

LSIはCPU・RAMの主用部品だが、それ以外にも多様な部品に使われている。高速応答性が要求される領域では、砒化ゲルマニウム(GeAs)やガリウムインジウムリン(InGaP)といったシリコン以外の半導体を使ったLSIも用いられている。また、近年は二酸化珪素の代わりに酸化ハフニウム(HfO2)を絶縁膜とするものも使われている。

コンデンサーやダイオードを含む直流回路

磁気

以下では磁気を扱う。その際外積(ベクトル積)を用いることがあるので必要に応じて参照されたい。

磁気力と磁場

磁石に鉄粉をかけると磁石の両端によく付着する。この鉄粉を吸引する力の原料力とみられる部分(最も強い部分)を磁石の磁極という。磁極同士或いは磁石同士,電流同士,電流と磁石が互いに引き合い或いは斥け合う力のことを磁気力(磁力)という。磁極の強さを表す量を磁気量磁荷)という。磁荷の単位はウェーバー Wb{\displaystyle \mathrm {Wb} } である[3]

2つの点電荷の間にクーロンの法則が成り立つように、2つの点磁荷の間にもクーロンの法則が成り立つ。

つまり磁気力F{\displaystyle F}に就て、F=kmm1m2r2

{\displaystyle F=k_{m}{\frac {m_{1}m_{2}}{r^{2}}}}

である。

ここでm1,m2{\displaystyle m_{1},m_{2}}はそれぞれの点磁荷の磁気量、km{\displaystyle k_{m}}は比例定数(磁気クーロン定数)である。真空中ではkm=6.33×104Nm2/Wb2{\displaystyle k_{m}=6.33\times 10^{4}\,\mathrm {N\cdot m^{2}/Wb^{2}} }。真空の誘電率を k0=14πε0{\displaystyle k_{0}={\frac {1}{4\pi \varepsilon _{0}}}} で定義したのと同じように、真空の透磁率(磁気定数)を km=14πμ0{\displaystyle k_{m}={\frac {1}{4\pi \mu _{0}}}} で定義する。


電場が電荷に力を及ぼす空間の性質である一方,磁場磁界)は運動している電荷に力を及ぼす空間の性質である。磁場は電場と同様に,大きさと向きを持つベクトルである。磁場ベクトルH{\displaystyle {\overrightarrow {H}}}の点に,磁気量 m{\displaystyle m} の磁極を置いたとき,この磁極に働く力を F{\displaystyle F} とするとH=Fm

{\displaystyle {\overrightarrow {H}}={\frac {\overrightarrow {F}}{m}}}

 (2.1)

が成り立つ。

磁束密度

磁束密度B{\displaystyle {\overrightarrow {B}}}は,磁場H{\displaystyle {\overrightarrow {H}}}透磁率 μ{\displaystyle \mu } を用いてB=μH

{\displaystyle {\overrightarrow {B}}=\mu {\overrightarrow {H}}}

(2.2)

と表される。なお,この磁束密度B{\displaystyle {\overrightarrow {B}}}のことを単に磁場と呼ぶこともある。

真空の透磁率はμ0=1.26×106N/A24π×107N/A2{\displaystyle \mu _{0}=1.26\times 10^{-6}\,\mathrm {N/A^{2}} \fallingdotseq 4\pi \times 10^{-7}\,\mathrm {N/A^{2}} } である。物質の比透磁率はμr=μμ0{\displaystyle \mu _{r}={\frac {\mu }{\mu _{0}}}}で求められる。地球大気の比透磁率はほぼ1であり、鉄の比透磁率は8000である。

電流が作る磁場

電流I{\displaystyle {\overrightarrow {I}}}の流れている導線Cを微小区間に分割する。電流によって作り出される磁場を定めているビオ・サヴァールの法則(英: Biot–Savart law)により,位置r{\displaystyle {\vec {r'}}}にある微小区間dl{\displaystyle dl}の電流が位置r{\displaystyle {\overrightarrow {r}}}に作る磁束密度はdB(r)=μ04πI×(rr)|rr|3dl

{\displaystyle d{\overrightarrow {B}}({\overrightarrow {r}})={\frac {\mu _{0}}{4\pi }}\cdot {\frac {{\overrightarrow {I}}\times ({\overrightarrow {r}}-{\vec {r'}})}{|{\overrightarrow {r}}-{\vec {r'}}|^{3}}}dl}

. (2.3)

電流全体の作る磁束密度は全微小区間からの寄与を足し合わせれば,つまり積分すれば求まる。B(r)=μ04πI×(rr)|rr|3dl

{\displaystyle {\overrightarrow {B}}({\overrightarrow {r}})={\frac {\mu _{0}}{4\pi }}\int {\frac {{\overrightarrow {I}}\times ({\overrightarrow {r}}-{\vec {r'}})}{|{\overrightarrow {r}}-{\vec {r'}}|^{3}}}dl}

. (2.4)

無限に長い直線電流

無限に長い直線電流
右ねじの法則

右図のように,電流にそってz{\displaystyle z}をとり,磁場を求める点Pを通るようにx{\displaystyle x}軸をとると(OP¯=r){\displaystyle ({\overline {\mathrm {OP} }}=r)}xyz{\displaystyle xyz}空間においてr=(r, 0, 0). r=(0, 0, z){\displaystyle {\overrightarrow {r}}=(r,\ 0,\ 0).\ {\vec {r'}}=(0,\ 0,\ z')}とおくとz{\displaystyle z}軸上の微小区間[z, z+dz]{\displaystyle [z',\ z'+dz']}の電流が点Pに作る磁束密度は外積の性質よりI{\displaystyle {\overrightarrow {I}}}rr{\displaystyle {\overrightarrow {r}}-{\vec {r'}}}に垂直,すなわちdB(r)=(0, dB(r), 0)

{\displaystyle d{\overrightarrow {B}}({\overrightarrow {r}})=(0,\ dB(r),\ 0)}

y{\displaystyle y}成分のみで,|rr|=r2+z2{\displaystyle |{\overrightarrow {r}}-{\vec {r'}}|={\sqrt {r^{2}+{z'}^{2}}}}であるからdB(r)=μ04πIsinθr2+z2dz=μ0I4πrdz(r2+z2)32

{\displaystyle dB(r)={\frac {\mu _{0}}{4\pi }}{\frac {I\sin \theta }{r^{2}+{z'}^{2}}}dz'={\frac {\mu _{0}I}{4\pi }}{\frac {rdz'}{(r^{2}+{z'}^{2})^{\frac {3}{2}}}}}

.

よって電流全体が作る磁束密度B{\displaystyle B}は(2.4)よりB(r)=μ0I4πrdz(r2+z2)32

{\displaystyle B(r)={\frac {\mu _{0}I}{4\pi }}\int _{-\infty }^{\infty }{\frac {rdz'}{(r^{2}+{z'}^{2})^{\frac {3}{2}}}}}

.

ここで,z=rtanϕ{\displaystyle z'=r\tan \phi }とするとdzdϕ=rcos2ϕsinϕ(sinϕ)cos2ϕ=rcos2ϕdz=rdϕcos2ϕzϕπ2π2

{\displaystyle {\frac {dz'}{d\phi }}=r{\frac {\cos ^{2}\phi -\sin \phi (-\sin \phi )}{\cos ^{2}\phi }}={\frac {r}{\cos ^{2}\phi }}\quad \therefore dz'={\frac {rd\phi }{\cos ^{2}\phi }}\quad {\begin{array}{c|c}z'&-\infty \to \infty \\\hline \phi &-{\frac {\pi }{2}}\to {\frac {\pi }{2}}\\\end{array}}}

であるから(置換積分)B(r)=μ0I4ππ2π2rrdϕcos2ϕ(r2+r2tan2ϕ)32=μ0I4ππ2π2cosϕrdϕ=μ0I4πr[sinϕ]π2π2=μ0I2πr

{\displaystyle B(r)={\frac {\mu _{0}I}{4\pi }}\int _{-{\frac {\pi }{2}}}^{\frac {\pi }{2}}{\frac {r{\frac {rd\phi }{\cos ^{2}\phi }}}{(r^{2}+r^{2}\tan ^{2}\phi )^{\frac {3}{2}}}}={\frac {\mu _{0}I}{4\pi }}\int _{-{\frac {\pi }{2}}}^{\frac {\pi }{2}}{\frac {\cos \phi }{r}}d\phi ={\frac {\mu _{0}I}{4\pi r}}[\sin \phi ]_{-{\frac {\pi }{2}}}^{\frac {\pi }{2}}={\frac {\mu _{0}I}{2\pi r}}}

.

以上より直線電流が作る磁束密度は電流まわりに渦巻き状に分布し,電流から垂直距離r{\displaystyle r}離れた位置では大きさ:B(r)=μ0I2πrH(r)=I2πr ((2.2))

{\displaystyle B(r)={\frac {\mu _{0}I}{2\pi r}}\Longleftrightarrow H(r)={\frac {I}{2\pi r}}\ (\because (2.2))}

 (2.5)向き:I

{\displaystyle I}

に垂直な面内でI

{\displaystyle I}

に対して右回り(右ねじの法則)

円形電流

半径rの円形導線に大きさIの電流が流れるとき、円の中心での磁場の強さHはH=I2r{\displaystyle H={\frac {I}{2r}}}と表される。

導出は直線電流の場合と同様である。

ソレノイド

導線を密に巻いた十分に長い円筒状のコイルをソレノイドという。

ソレノイドの作る磁場は、一定の間隔で並ぶ円形電流が周囲に作る磁場の重ね合わせと考えると、H=nI{\displaystyle H=nI}と求まる。但し、nはコイルの単位長さあたりの巻数である。

磁場が電流に及ぼす力

フレミングの左手の法則

磁束密度(磁場)B{\displaystyle {\overrightarrow {B}}}が長さl{\displaystyle l}の電流I{\displaystyle {\overrightarrow {I}}}に及ぼす力(電磁力,アンペール力)F{\displaystyle {\overrightarrow {F}}}F=lI×B

{\displaystyle {\overrightarrow {F}}=l{\overrightarrow {I}}\times {\overrightarrow {B}}}

と表され,磁束密度B{\displaystyle {\overrightarrow {B}}}と電流I{\displaystyle {\overrightarrow {I}}}のなす角をθ{\displaystyle \theta }として外積の性質より大きさ:F=lIBsinθ

{\displaystyle F=lIB\sin \theta }

 (磁場H

{\displaystyle {\overrightarrow {H}}}

と真空の透磁率μ0

{\displaystyle \mu _{0}}

を用いると(2.2)よりF=μ0lIHsinθ

{\displaystyle F=\mu _{0}lIH\sin \theta }

)向き:フレミングの左手の法則に従う,或いは電流の向きと磁場の向きに垂直に立てた右ねじを電流の向きから磁場の向きに回したときに右ねじの進む向き


2つの平行電流が及ぼしあう力を求めてみよう。

十分に長い2本の平行導線P,Qをrだけ離し、それぞれに大きさI1,I2の電流を流す。電流の向きが等しいとき、PがQの長さlの部分に及ぼすアンペール力は、F=I2B1l=I2μI12πrl=μI1I22πrl{\displaystyle F=I_{2}B_{1}l=I_{2}{\frac {\mu I_{1}}{2\pi r}}l={\frac {\mu I_{1}I_{2}}{2\pi r}}l}と求まる。このとき、QがPのlの部分に及ぼすアンペール力はFと同じ大きさで同じ向きである。

電流の向きが反対のとき、及ぼしあうアンペール力の向きも反対となる。

ローレンツ力

一般に荷電粒子が磁場を横切ると,磁場から力を受けることが知られている。電場E{\displaystyle {\overrightarrow {E}}},磁束密度B{\displaystyle {\overrightarrow {B}}}の中で,速度v{\displaystyle {\overrightarrow {v}}},電荷q{\displaystyle q}の荷電粒子に働く力F=q(E+v×B)

{\displaystyle {\overrightarrow {F}}=q({\overrightarrow {E}}+{\overrightarrow {v}}\times {\overrightarrow {B}})}

特に磁束密度B{\displaystyle {\overrightarrow {B}}}の中で速度v{\displaystyle {\overrightarrow {v}}},電荷q{\displaystyle q}の荷電粒子に働く力F=qv×B

{\displaystyle {\overrightarrow {F}}=q{\overrightarrow {v}}\times {\overrightarrow {B}}}

をローレンツ力(英: Lorentz force)という。磁束密度B{\displaystyle {\overrightarrow {B}}}と速度v{\displaystyle {\overrightarrow {v}}}のなす角をθ{\displaystyle \theta }として外積の性質より大きさ:F=qvBsinθ

{\displaystyle F=qvB\sin \theta }

向き:フレミングの左手の法則に従う,或いは正電荷のときに荷電粒子の速度の向きと磁場の向きに垂直に立てた右ねじを速度の向きから磁場の向きに回したときに右ねじの進む向き(負電荷では逆になる)


サイクロトロン・ベータトロン

磁束

閉曲線Cの正の向きを定め,その向きに右ねじを回してねじが進む向きにCの囲む面の法線ベクトルn{\displaystyle {\overrightarrow {n}}}をとる。Cの囲む面の面積をS{\displaystyle S}としてCを貫く磁束Φ{\displaystyle {\mathit {\Phi }}}Φ=BndS

{\displaystyle {\mathit {\Phi }}=\int {\overrightarrow {B}}\cdot {\overrightarrow {n}}dS}

特にBn{\displaystyle {\overrightarrow {B}}\cdot {\overrightarrow {n}}}が一様であるときはΦ=BnS=BScosθ

{\displaystyle {\mathit {\Phi }}={\overrightarrow {B}}\cdot {\overrightarrow {n}}S=BS\cos \theta }

.

電磁誘導

誘導起電力

コイルの両端に検流計を繋ぎ、棒磁石をコイルに近づけたり遠ざけたりすると検流計の針が振れる。このように、閉回路を貫く磁場(磁束)の時間変化によって閉回路に電圧が生じて電流を生ずる現象を電磁誘導という。生じた電圧を誘導起電力、電流を誘導電流という。

誘導起電力は以下のレンツの法則に従う。誘導起電力は、誘導電流による磁束が外部から加えられた磁束変化を妨げる方向に発生するような向きに生じる。

具体例)鉛直に立てられたコイルに棒磁石のN極を近づけると、磁束の増加する方向(鉛直下向き)とは逆向き(鉛直上向き)の磁束が発生する向き(時計回り)に誘導電流が流れる。

イギリスのファラデーは、実験を通して「コイルに発生する誘導起電力の大きさはコイルを貫く磁束の単位時間あたりの変化量とコイルの巻数に比例する」という事実を発見した。これを定式化したのが、次のファラデーの電磁誘導の法則である。V=NΔΦΔt

{\displaystyle V=-N{\frac {\Delta \Phi }{\Delta t}}}

負の符号は、レンツの法則による。また、Nはコイルの巻数である。

一般に、誘導起電力Vemf{\displaystyle V_{\mathrm {emf} }}Vemf=dΦdt

{\displaystyle V_{\mathrm {emf} }=-{\frac {d{\mathit {\Phi }}}{dt}}}

.

と表される。

電磁誘導は、コイルを磁場に出し入れする場合も起こる。

長さlの導線が磁束密度Bの磁場を速さvで横切り、磁場ベクトルと導線の速度ベクトルのなす角度がθであるとき、誘導起電力は以下の式で表される。Vemf=dΦdt=d(Blvtcos(π2θ))dt=Bld(vt)dtsinθ=Blvsinθ

{\displaystyle V_{\mathrm {emf} }=-{\frac {d{\mathit {\Phi }}}{dt}}=-{\frac {d(Blvt\cos({\frac {\pi }{2}}-\theta ))}{dt}}=-Bl{\frac {d(vt)}{dt}}\sin \theta =-Blv\sin \theta }

.

また,誘導起電力の大きさを単位電荷あたりのローレンツ力がする仕事として考えると以下のような求め方もできる。|Vemf|=l|v×B|=vBlsinθ

{\displaystyle |V_{\mathrm {emf} }|=l|{\vec {v}}\times {\vec {B}}|=vBl\sin \theta }


無限に長い2本の導線に起電力V0{\displaystyle V_{0}}の電池と抵抗値R{\displaystyle R}の抵抗を直列に繋げ、長さl{\displaystyle l}の軽い導線を乗せる。磁束密度B{\displaystyle B}の磁場を回路に垂直にかけ、乗せた導線に質量m{\displaystyle m}の錘をつけて速さv{\displaystyle v}で引き上げる。

導線の両端に生じる誘導起電力の大きさは、sin90=1{\displaystyle \sin 90^{\circ }=1}よりvBl{\displaystyle vBl}である。レンツの法則より誘電起電力の向きは電池の向きと逆なので、回路に流れる電流の大きさをI{\displaystyle I}とするとキルヒホッフの第二法則よりV0vBl=RI{\displaystyle V_{0}-vBl=RI}である。

時間をtとしてItを両辺にかけて変形すると、IV0t=vtIBl+I2Rt{\displaystyle IV_{0}t=vtIBl+I^{2}Rt}。導線と錘は等速運動をするので、重力加速度をg{\displaystyle g}とするとローレンツ力と重力の釣り合いよりIBl=mg{\displaystyle IBl=mg}である。導線と錘の移動距離vt{\displaystyle vt}h{\displaystyle h}とおくと、最終的にこのような式となる。IV0t=mgh+RI2t

{\displaystyle IV_{0}t=mgh+RI^{2}t}

左辺は電池のする仕事、右辺は重力による位置エネルギーと抵抗で発生するジュール熱である。

このように、誘電起電力が発生する場合もエネルギー収支を考えることが可能である。

なお、導線の速さが変化する場合でも、レンツの法則より速度変化を妨げる向きに誘導起電力が発生するため、最終的に等速運動となる。

渦電流

コイルと同様に、金属板の上で磁石を動かしたりするときにも金属板に誘導電流が流れる。これを渦電流という。

S極が上の磁石を銅板上で動かすと、磁石が遠ざかる側は銅板を下向きに貫く磁束が減少するため、レンツの法則より磁束が増加する向きに電流が流れる。逆に、磁石が近付く側は磁束が減少する向きに電流が流れる。例えば、右向きに動かす場合は左回転の渦電流が発生する。

渦電流は磁気力によって生ずるため、銅板と磁石の接触は必ずしも必要ではない。

このように、環状のコイルでない場合にも誘導電流は発生する。さらに、金属が存在しない空間においても、磁場が変化するとその周りに電場が生ずる。これを誘導電場という。

渦電流が応用された製品として、大型車に用いられる補助ブレーキや、IHC(電磁気調理器、Induction Heating Cooker)がある。

自己誘導

先ほど学んだように、コイルに一定の電流を流すと一定の磁場が生じる。ここでは、流す電流を変化させた場合を考える。

コイルに流れる電流を変化させるとき、レンツの法則より電流の作る磁場の変化を妨げる向きの磁束が生じ、誘導起電力は電流の増減を妨げる向きに発生する。故に、電流の変化は瞬時には起こらない。

このように、コイルに流れる電流の変化を妨げる向きにコイルに誘導起電力が生じることを自己誘導という。また、自己誘導による誘導起電力を逆起電力という。


電流が作る磁場の強さHは電流Iに比例し、コイルを貫く磁束ΦもIに比例する。よって、比例定数をkとしてΦ=kI

{\displaystyle \Phi =kI}

と表せる。

Δt{\displaystyle \Delta t}秒間の変化を考えると、電流の変化ΔI{\displaystyle \Delta I}と磁束の変化ΔΦ{\displaystyle \Delta \Phi }の間にはΔΦ=kΔI

{\displaystyle \Delta \Phi =k\Delta I}

という関係が成り立つ。

よって、ファラデーの電磁誘導の法則よりV=NΔΦΔt=NkΔIΔt

{\displaystyle V=-N{\frac {\Delta \Phi }{\Delta t}}=-Nk{\frac {\Delta I}{\Delta t}}}

であり、比例定数をLとおくとVL=LΔIΔt

{\displaystyle V_{L}=-L{\frac {\Delta I}{\Delta t}}}

となる。

この比例定数Lはコイルの自己誘導の大きさを表し、自己インダクタンス(自己誘導係数、自己誘導子)という。

自己インダクタンスの単位はヘンリー(記号:H (=m2・kg / s2・A2))である。


単位長さあたりの巻数n、長さl、断面積Sのコイルに透磁率μの芯を入れる場合を考える。

コイル内部の磁束密度はB=μH=μnI

{\displaystyle B=\mu H=\mu nI}

コイルを貫く磁束はΦ=BS=μnIS

{\displaystyle \Phi =BS=\mu nIS}

よって先ほどの比例定数kはk=μnS

{\displaystyle k=\mu nS}

コイルの巻き数はN=nl

{\displaystyle N=nl}

よってL=Nk=nlμnS=μn2lS

{\displaystyle L=Nk=nl\cdot \mu nS=\mu n^{2}lS}

ここで、μの単位はN/A2、nの単位は1/m、lの単位はm、Sの単位はm2であり、N=m・kg/s2なので、自己インダクタンスの単位Hが基本単位表記でm2・kg / s2・A2となることを確かめられた。


自己インダクタンスLのコイルに流れる電流を0からIにするには、逆起電力に逆らって仕事をする必要がある。この仕事がコイルに蓄えられるエネルギーUとなる。U=0ILIdI=12LI2

{\displaystyle U=\int _{0}^{I}LIdI={\frac {1}{2}}LI^{2}}

相互誘導

二つのコイルが存在するとき、コイル1の電流の変化によって生じる磁束の変化の影響でコイル2に誘導起電力が生じる現象を相互誘導という。

二つのコイルを貫く磁束は同一のものであるから、コイル2に生じる誘導起電力はコイル1の電流I1{\displaystyle I_{1}}の時間変化の割合に比例する。

よって、比例定数をMとしてVM=MΔI1Δt

{\displaystyle V_{M}=-M{\frac {\Delta I_{1}}{\Delta t}}}

このMを相互インダクタンス(相互誘導係数、相互誘導子)という。単位は自己インダクタンスと同じくHである。

相互インダクタンスの値は、2つのコイルの巻数や形状、芯の透磁率、コイルの相互位置などによって決まる。

交流

交流の発生

辺ABの長さがl、巻数1の長方形コイルABCDが磁束密度Bの磁場の中で速さv,角速度ωで回転している状況を考える。ただし、磁場の向きは時刻0におけるコイルの向きに対して鉛直上向きであるとする。

A→B→C→Dの向きを正とすると、時刻tにおいて辺ABに生じる誘導起電力はvBlsinωt{\displaystyle vBl\sin \omega t}であり、辺DCにも同符号で同じ大きさの誘導機電力が生じる。辺BCと辺ADは磁場を横切らずに回転するので誘導起電力は生じない。故に、コイル全体では誘導起電力V=2vBlsinωt{\displaystyle V=2vBl\sin \omega t}である。

辺BCの長さが2rであるとすると、v=rω{\displaystyle v=r\omega }よりV=2rωBlsinωt{\displaystyle V=2r\omega Bl\sin \omega t}である。

このとき、t{\displaystyle t}の値によってVは符号(=向き)を変えながら周期的に変化する。このような電圧を交流電圧といい、ωt{\displaystyle \omega t}位相という。

sinωt=1{\displaystyle \sin \omega t=1}のときVは最大値2rωBl{\displaystyle 2r\omega Bl}をとり、これをV0{\displaystyle V_{0}}と書く(交流電圧の最大値)。

このコイルを回路に組み込むと、周期的に向きが変わる電流が流れる。これを交流電流、略して交流という。

交流の周期T、周波数fはそれぞれT=2πω,f=1T=ω2π{\displaystyle T={\frac {2\pi }{\omega }},f={\frac {1}{T}}={\frac {\omega }{2\pi }}}と表される。

ω=2πf{\displaystyle \omega =2\pi f}角周波数という。

交流の周波数は東日本では50Hz、西日本では60Hzである。これは、電気機械を輸入した国の違い(東:ドイツ、西:アメリカ)から発生した違いである。現在の世界において交流に複数の周波数を採用している国は非常に珍しく、一つの国の中で 50Hzと60Hzの独立した系統を有し、かつ周波数変換施設で連系しているのは日本のみである。


交流電圧はファラデーの電磁誘導の法則から導出することもできる。

コイル面の面積はS=2rl{\displaystyle S=2rl}であり、コイルを貫く磁束はΦ=BScosωt{\displaystyle \Phi =BS\cos \omega t}である。

ファラデーの電磁誘導の法則よりV=dΦdt=ddt(BScosωt)=BSddtcosωt=BSωsinωt{\displaystyle V=-{\frac {d\Phi }{dt}}=-{\frac {d}{dt}}(BS\cos \omega t)=-BS{\frac {d}{dt}}\cos \omega t=BS\omega \sin \omega t}

ここでBSω=2Brlω=V0{\displaystyle BS\omega =2Brl\omega =V_{0}}であり、V=V0sinωt{\displaystyle V=V_{0}\sin \omega t}が得られた。

このとき、Φ0=BS{\displaystyle \Phi _{0}=BS}はコイルを貫く磁束の最大値である。


交流においてもオームの法則が成り立つので、回路に繋いだ抵抗の抵抗値をRとするとI=V0Rsinωt{\displaystyle I={\frac {V_{0}}{R}}\sin \omega t}である。sinωt=1{\displaystyle \sin \omega t=1}のとき電流は最大値V0R{\displaystyle {\frac {V_{0}}{R}}}をとり、これをI0{\displaystyle I_{0}}と表す(交流電流の最大値)。

このとき、電流と電圧の時間的変化の仕方は等しいので、電流と電圧は同位相である。

同位相な電圧と電流について、常にV0=RI0{\displaystyle V_{0}=RI_{0}}である。


家庭で使用される100Vの交流電圧の最大値は約141Vであり、交流電圧は-141~141Vの間で周期的に変化している。100Vというのは、この交流のする仕事が100Vの直流のする仕事に等しいことからきている。このように、交流電圧・交流電流の大きさにはそこから計算される電力が直流と同等の効果を持つような値が用いられる。これを実効値という。交流電圧計や交流電流計の値は実効値で示される。

電球の消費電力Pについて考えると、P=IV=I0V0sin2ωt=I0V02(1cos2ωt){\displaystyle P=IV=I_{0}V_{0}\sin ^{2}\omega t={\frac {I_{0}V_{0}}{2}}(1-\cos 2\omega t)}となり、0I0V0{\displaystyle 0\sim I_{0}V_{0}}[W]の間で周期的に変化する。その時間平均をとると、P-tグラフからP¯=12I0V0{\displaystyle {\overline {P}}={\frac {1}{2}}I_{0}V_{0}}とわかる。ここで、直流と同様にP¯=IeVe=RIe2=Ve2R{\displaystyle {\overline {P}}=I_{e}V_{e}=RI_{e}^{2}={\frac {V_{e}^{2}}{R}}}という式が成り立つように実効値Ie,Ve{\displaystyle I_{e},V_{e}}を定めたい。この条件を満たすような実効値の定め方は一意であり、それはIe:=I02,Ve:=V02{\displaystyle I_{e}:={\frac {I_{0}}{\sqrt {2}}},V_{e}:={\frac {V_{0}}{\sqrt {2}}}}である。

これらの議論から、Ve=RIe{\displaystyle V_{e}=RI_{e}}が成り立つ。

実効値を用いると、直流の場合と同様に電力・オームの法則の計算ができる。

実効値に対して、各時刻における電流値・電圧値をそれぞれの瞬間値(瞬時値)という。I0,V0{\displaystyle I_{0},V_{0}}は瞬間値の最大値である。


電磁誘導を用いて交流電圧を変える装置を変圧器(トランス)という。変圧器は、巻数の異なる2つのコイルを共通の鉄芯(コア)に巻きつけた構造をしている。交流電源側のコイルを一次コイル、もう片方のコイルを二次コイルという。

一次コイルに交流電圧が流れると交流は常に大きさと向きが変化するため、鉄芯内の磁束Φ{\displaystyle \Phi }が変化して電磁誘導が起こる。それぞれのコイルに発生する誘導起電力をV1,V2{\displaystyle V_{1},V_{2}}、コイルの巻数をN1,N2{\displaystyle N_{1},N_{2}}とする。

鉄芯の内部を貫く磁束が鉄芯外部に漏れないものとすると、磁束・磁束の時間変化ともに両方のコイルに共通なのでV1=N1dΦdt,V2=N2dΦdt{\displaystyle V_{1}=-N_{1}{\frac {d\Phi }{dt}},V_{2}=-N_{2}{\frac {d\Phi }{dt}}}である。

V1,V2{\displaystyle V_{1},V_{2}}の実効値をVe,Vε{\displaystyle V_{e},V_{\varepsilon }}とすると、Ve:Vε=N1:N2{\displaystyle V_{e}:V_{\varepsilon }=N_{1}:N_{2}}となり、コイルの巻数の比と交流電圧の比が等しくなる。

電流損失が無視できる場合、一次コイルの電力と二次コイルの電力は等しいのでエネルギー保存則が成り立ち、二次コイルの電圧を高くすると二次コイルの電流は小さくなる。

発電所で発電された交流電気は変圧器によって超高電圧に上げてから送電されている。これは、送電線に流れる電流を小さくして送電線で発生するジュール熱(=エネルギー損失)を小さくするためである。

街に届いた交流電気は再度変圧器によって100Vに変換されてから各家庭に届けられる。

交流回路

コイルやコンデンサーを含む交流回路では、電流と電圧に位相差が生じることが知られている。そのため、交流回路について考えるとき、I=I0sinωt,V=V0sin(ωt+ϕ){\displaystyle I=I_{0}\sin \omega t,V=V_{0}\sin(\omega t+\phi )}とおいてV0,I0{\displaystyle V_{0},I_{0}}の関係及びϕ{\displaystyle \phi }を明確にすることが重要である。

交流と抵抗

抵抗のみが接続されている場合、先ほど求めた関係式V0=RI0{\displaystyle V_{0}=RI_{0}}から電流と電圧の位相差はϕ=0{\displaystyle \phi =0}であるとわかる。すなわち、交流電圧VR{\displaystyle V_{R}}と交流電圧IR{\displaystyle I_{R}}は同位相である。


交流電圧と交流電流の時間変化を考える時、xy平面上で原点を中心に一定の角速度で回転する二つのベクトルを考えることがある。原点を始点として、回転角が位相に対応し|IR|=IR0,|VR|=VR0{\displaystyle |{\vec {I_{R}}}|=I_{R_{0}},|{\vec {V_{R}}}|=V_{R_{0}}}となるようにIR,VR{\displaystyle {\vec {I_{R}}},{\vec {V_{R}}}}をとる。このとき、各ベクトルのy成分が交流電流・交流電圧それぞれの瞬間値を表す。


電気素子を一つだけ繋いだ交流回路において、X=V0I0=VeIe{\displaystyle X={\frac {V_{0}}{I_{0}}}={\frac {V_{e}}{I_{e}}}}で定義される量をリアクタンス(誘導抵抗、感応抵抗)という。単位は抵抗値と同じくΩを用いる。リアクタンスは交流に対する抵抗の働きを表す。

抵抗のリアクタンスはXR=R{\displaystyle X_{R}=R}であり、交流の周波数に関係なく一定である。

交流とコイル

コイルを含む回路に交流電圧を加えるとき、直流電圧を加えるときよりも流れる電流が小さくなる。すなわち、コイルは交流電流に対して抵抗のような働きをし、リアクタンスを考えることができる。

交流電源とコイルのみからなる回路について、コイルに生じる誘導起電力をV{\displaystyle V'}、コイルの自己インダクタンスをL{\displaystyle L}とする。

キルヒホッフの第二法則よりV+V=0{\displaystyle V+V'=0}であり、V=LΔIΔt{\displaystyle V'=-L{\frac {\Delta I}{\Delta t}}}なので、V=LΔIΔt{\displaystyle V=L{\frac {\Delta I}{\Delta t}}}・・・(*)と求まる。

ΔI{\displaystyle \Delta I}は時刻tt+Δt{\displaystyle t\sim t+\Delta t}間の電流変化なので、ΔI=I0sin{ω(t+Δt)}I0sinωt

{\displaystyle \Delta I=I_{0}\sin\{\omega (t+\Delta t)\}-I_{0}\sin \omega t}

=I0sin(ωt+ωΔt)I0sinωt

{\displaystyle =I_{0}\sin(\omega t+\omega \Delta t)-I_{0}\sin \omega t}

=I0(sinωtcosωΔt+cosωtsinωΔt)I0sinωt

{\displaystyle =I_{0}(\sin \omega t\cdot \cos \omega \Delta t+\cos \omega t\cdot \sin \omega \Delta t)-I_{0}\sin \omega t}

ここで|Δt|1{\displaystyle |\Delta t|\ll 1}と見做してlimθ0sinθ=θ,limθ0cosθ=1{\displaystyle \lim _{\theta \to 0}\sin \theta =\theta ,\lim _{\theta \to 0}\cos \theta =1}の関係を用いると、ΔII0(sinωt+ωΔtcosωtsinωt)

{\displaystyle \Delta I\fallingdotseq I_{0}(\sin \omega t+\omega \Delta t\cos \omega t-\sin \omega t)}

=ωI0cosωtΔt

{\displaystyle =\omega I_{0}\cos \omega t\cdot \Delta t}

ΔIΔt=ωI0cosωt

{\displaystyle \therefore {\frac {\Delta I}{\Delta t}}=\omega I_{0}\cos \omega t}

と求まる。

これを(*)に代入すると、V0sin(ωt+ϕ)=LωI0cosωt

{\displaystyle V_{0}\sin(\omega t+\phi )=L\omega I_{0}\cos \omega t}

これがt{\displaystyle t}の恒等式となるので、V0=ωLI0{\displaystyle V_{0}=\omega LI_{0}}かつsin(ωt+ϕ)=cosωt{\displaystyle \sin(\omega t+\phi )=\cos \omega t}t{\displaystyle t}の恒等式である。

すなわち、XL=ωL,ϕ=π2{\displaystyle X_{L}=\omega L,\phi ={\frac {\pi }{2}}}である。

ここから、コイルの交流電圧VL{\displaystyle V_{L}}の位相は交流電流IL{\displaystyle I_{L}}の位相よりπ2{\displaystyle {\frac {\pi }{2}}}進み、コイルのリアクタンスは交流の周波数が大きいほど大きいことがわかる。

なお、微分を用いると以下のように導出される。V=LdIdt=LI0ddtsinωt=ωLI0cosωt=ωLI0sin(ωt+π2)

{\displaystyle V=L{\frac {dI}{dt}}=LI_{0}{\frac {d}{dt}}\sin \omega t=\omega LI_{0}\cos \omega t=\omega LI_{0}\sin(\omega t+{\frac {\pi }{2}})}


この回路において、コイルの消費電力PL{\displaystyle P_{L}}は以下のように求まる。PL=ILVL=I0sinωtV0sin(ωt+π2)=I0V0sinωtcosωt=12I0V0sin2ωt

{\displaystyle P_{L}=I_{L}V_{L}=I_{0}\sin \omega t\cdot V_{0}\sin(\omega t+{\frac {\pi }{2}})=I_{0}V_{0}\sin \omega t\cos \omega t={\frac {1}{2}}I_{0}V_{0}\sin 2\omega t}

正弦関数は周期関数なので、PL{\displaystyle P_{L}}の時間平均はPL¯=0{\displaystyle {\overline {P_{L}}}=0}となることがわかる。

交流とコンデンサ

コンデンサーに直流電圧を加えると、コンデンサの充電が終わるまで電流が流れ、その後電流は流れなくなる。一方、交流電流を加えると、電圧の向きが常に変わるのでコンデンサが充電・放電を繰り返し、回路に電流が流れ続ける。このとき、コンデンサの両端に電位差が生じ、コンデンサは抵抗と同様の働きをする。すなわち、コンデンサでもリアクタンスを考えることができる。

交流電源とコンデンサのみからなる回路について、コンデンサの電気容量をC{\displaystyle C}、電気量をQ{\displaystyle Q}とする。

電流の定義よりI=ΔQΔt{\displaystyle I={\frac {\Delta Q}{\Delta t}}}であり、Q=CV{\displaystyle Q=CV}よりI=CΔVΔt{\displaystyle I=C{\frac {\Delta V}{\Delta t}}}・・・(@)と求まる。

ΔV{\displaystyle \Delta V}は時刻tt+Δt{\displaystyle t\sim t+\Delta t}間の電圧変化なので、ΔV=V0sin{ω(t+Δt)+ϕ}V0sin(ωt+ϕ)

{\displaystyle \Delta V=V_{0}\sin\{\omega (t+\Delta t)+\phi \}-V_{0}\sin(\omega t+\phi )}

=V0sin{(ωt+ϕ)+ωΔt}V0sin(ωt+ϕ)

{\displaystyle =V_{0}\sin\{(\omega t+\phi )+\omega \Delta t\}-V_{0}\sin(\omega t+\phi )}

=V0{sin(ωt+ϕ)cosωΔt+cos(ωt+ϕ)sinωΔt}V0sin(ωt+ϕ)

{\displaystyle =V_{0}\{\sin(\omega t+\phi )\cdot \cos \omega \Delta t+\cos(\omega t+\phi )\cdot \sin \omega \Delta t\}-V_{0}\sin(\omega t+\phi )}

ここで先ほどと同様に|Δt|1{\displaystyle |\Delta t|\ll 1}と見做して近似すると、ΔVV0{sin(ωt+ϕ)+ωΔtcos(ωt+ϕ)}V0sin(ωt+ϕ)

{\displaystyle \Delta V\fallingdotseq V_{0}\{\sin(\omega t+\phi )+\omega \Delta t\cos(\omega t+\phi )\}-V_{0}\sin(\omega t+\phi )}

=ωV0cos(ωt+ϕ)Δt

{\displaystyle =\omega V_{0}\cos(\omega t+\phi )\cdot \Delta t}

ΔVΔt=ωV0cos(ωt+ϕ)

{\displaystyle \therefore {\frac {\Delta V}{\Delta t}}=\omega V_{0}\cos(\omega t+\phi )}

これを(@)に代入すると、I0sinωt=CωV0cos(ωt+ϕ)

{\displaystyle I_{0}\sin \omega t=C\omega V_{0}\cos(\omega t+\phi )}

これがt{\displaystyle t}の恒等式となるので、I0=CωV0{\displaystyle I_{0}=C\omega V_{0}}かつsinωt=cos(ωt+ϕ){\displaystyle \sin \omega t=\cos(\omega t+\phi )}t{\displaystyle t}の恒等式である。

すなわち、XC=1ωC,ϕ=π2{\displaystyle X_{C}={\frac {1}{\omega C}},\phi =-{\frac {\pi }{2}}}である。

ここから、コンデンサの交流電圧VC{\displaystyle V_{C}}の位相は交流電流IC{\displaystyle I_{C}}の位相よりπ2{\displaystyle {\frac {\pi }{2}}}遅れ、コンデンサのリアクタンスは交流の周波数が小さいほど大きいことがわかる。

なお、微分を用いると以下のように導出される。Q=CV

{\displaystyle Q=CV}

よりdQdt=CdVdt

{\displaystyle {\frac {dQ}{dt}}=C{\frac {dV}{dt}}}

I=dQdt=CV0ddtsinωt=ωCV0cosωt=ωCV0sin(ωt+π2)

{\displaystyle I={\frac {dQ}{dt}}=CV_{0}{\frac {d}{dt}}\sin \omega t=\omega CV_{0}\cos \omega t=\omega CV_{0}\sin(\omega t+{\frac {\pi }{2}})}

V=I0ωCsin(ωtπ2)

{\displaystyle \therefore V={\frac {I_{0}}{\omega C}}\sin(\omega t-{\frac {\pi }{2}})}


この回路において、コンデンサの消費電力PC{\displaystyle P_{C}}は以下のように求まる。PC=ICVC=I0sinωtV0sin(ωtπ2)=I0V0sinωtcosωt=12I0V0sin2ωt

{\displaystyle P_{C}=I_{C}V_{C}=I_{0}\sin \omega t\cdot V_{0}\sin(\omega t-{\frac {\pi }{2}})=-I_{0}V_{0}\sin \omega t\cos \omega t=-{\frac {1}{2}}I_{0}V_{0}\sin 2\omega t}

正弦関数は周期関数なので、PC{\displaystyle P_{C}}の時間平均はPC¯=0{\displaystyle {\overline {P_{C}}}=0}となることがわかる。

インピーダンス

交流電源に抵抗R、コイルL、コンデンサCを直列に繋いだ回路(RLC直列回路)を考える。

回路全体の瞬間電圧はV=VR+VL+VR{\displaystyle V=V_{R}+V_{L}+V_{R}}であるが、RLCそれぞれの交流電圧の位相が不揃いなので最大電圧はV0<VR0+VL0+VC0{\displaystyle V_{0}<V_{R_{0}}+V_{L_{0}}+V_{C_{0}}}である。

そこで、位相差を考慮するためにベクトル図を利用する。

直列接続ではR、L、Cそれぞれに流れる電流が同じなので、電流を基準に考える。

x軸の正方向にI0{\displaystyle {\vec {I_{0}}}}をとる。VR0

{\displaystyle {\vec {V_{R_{0}}}}}

I0

{\displaystyle {\vec {I_{0}}}}

との位相差が0

{\displaystyle 0}

なのでx軸の正方向を向く。VL0

{\displaystyle {\vec {V_{L_{0}}}}}

I0

{\displaystyle {\vec {I_{0}}}}

との位相差がπ2

{\displaystyle {\frac {\pi }{2}}}

なのでy軸の正方向を向く。VC0

{\displaystyle {\vec {V_{C_{0}}}}}

I0

{\displaystyle {\vec {I_{0}}}}

との位相差がπ2

{\displaystyle -{\frac {\pi }{2}}}

なのでy軸の負方向を向く。

V0=VR0+VL0+VC0{\displaystyle {\vec {V_{0}}}={\vec {V_{R_{0}}}}+{\vec {V_{L_{0}}}}+{\vec {V_{C_{0}}}}}なので、両辺のベクトルの長さを考えると三平方の定理よりV0=VR02+(VL0VC0)2{\displaystyle V_{0}={\sqrt {V_{R_{0}}^{2}+(V_{L_{0}}-V_{C_{0}})^{2}}}}と容易に求まった。

電気素子を複数繋いだ交流回路について、Z=V0I0=VeIe{\displaystyle Z={\frac {V_{0}}{I_{0}}}={\frac {V_{e}}{I_{e}}}}で定義される量をインピーダンスという。単位はリアクタンスと同様にΩを用いる。インピーダンスは交流回路における合成抵抗の働きを表す。

この直流回路について、V02=(RI0)2+{(ωL1ωC)I0}2{\displaystyle V_{0}^{2}=(RI_{0})^{2}+\{(\omega L-{\frac {1}{\omega C}})I_{0}\}^{2}}よりV0=I0R2+(ωL1ωC)2{\displaystyle V_{0}=I_{0}{\sqrt {R^{2}+(\omega L-{\frac {1}{\omega C}})^{2}}}}なので、Z=R2+(ωL1ωC)2{\displaystyle Z={\sqrt {R^{2}+(\omega L-{\frac {1}{\omega C}})^{2}}}}と求まる。

この回路全体の交流電流に対して回路全体の交流電圧の位相がϕ{\displaystyle \phi }進むとすると、ベクトル図を書くことによりtanϕ=ωL1ωCR{\displaystyle \tan \phi ={\frac {\omega L-{\frac {1}{\omega C}}}{R}}}と求まる。


同様にして、交流電源に抵抗R、コイルL、コンデンサCを並列に繋いだ回路(RLC並列回路)のインピーダンスを求める。

並列接続ではR、L、Cそれぞれに掛かる電圧が同じなので、電圧を基準に考える。

x軸の正方向にV0{\displaystyle {\vec {V_{0}}}}をとる。IR0

{\displaystyle {\vec {I_{R_{0}}}}}

V0

{\displaystyle {\vec {V_{0}}}}

との位相差が0

{\displaystyle 0}

なのでx軸の正方向を向く。IL0

{\displaystyle {\vec {I_{L_{0}}}}}

V0

{\displaystyle {\vec {V_{0}}}}

との位相差がπ2

{\displaystyle -{\frac {\pi }{2}}}

なのでy軸の負方向を向く。IC0

{\displaystyle {\vec {I_{C_{0}}}}}

V0

{\displaystyle {\vec {V_{0}}}}

との位相差がπ2

{\displaystyle {\frac {\pi }{2}}}

なのでy軸の正方向を向く。

|IR0|=V0R,|IL0|=V0ωL,|IC0|=ωCV0{\displaystyle |{\vec {I_{R_{0}}}}|={\frac {V_{0}}{R}},|{\vec {I_{L_{0}}}}|={\frac {V_{0}}{\omega L}},|{\vec {I_{C_{0}}}}|=\omega CV_{0}}より、I0=V01R2+(ωC1ωL)2{\displaystyle I_{0}=V_{0}{\sqrt {{\frac {1}{R^{2}}}+(\omega C-{\frac {1}{\omega L}})^{2}}}}

よって、Z=V0I0=11R2+(ωC1ωL)2,tanϕ=ωC1ωL1R{\displaystyle Z={\frac {V_{0}}{I_{0}}}={\frac {1}{\sqrt {{\frac {1}{R^{2}}}+(\omega C-{\frac {1}{\omega L}})^{2}}}},\tan \phi ={\frac {\omega C-{\frac {1}{\omega L}}}{\frac {1}{R}}}}


なお、直列・並列の双方においてインピーダンスを三角関数の加法定理を用いて求めることもできるが、計算が非常に煩雑なため省略する。


RLC直列回路・RLC並列回路ともにコイル・コンデンサーの消費電力は0であるため、回路全体の消費電力の時間平均は抵抗のみについて考えれば良い。

直列接続の場合、ベクトル図よりR=Zcosϕ{\displaystyle R=Z\cos \phi }なので、P¯=RIe2=ZcosϕIe2=IeVecosϕ

{\displaystyle {\overline {P}}=RI_{e}^{2}=Z\cos \phi \cdot I_{e}^{2}=I_{e}V_{e}\cos \phi }

並列接続の場合、ベクトル図より1R=1Zcosϕ{\displaystyle {\frac {1}{R}}={\frac {1}{Z}}\cos \phi }なので、P¯=Ve2R=cosϕZVe2=IeVecosϕ

{\displaystyle {\overline {P}}={\frac {V_{e}^{2}}{R}}={\frac {\cos \phi }{Z}}\cdot V_{e}^{2}=I_{e}V_{e}\cos \phi }

よって、繋ぎ方に関係なくP¯=IeVecosϕ{\displaystyle {\overline {P}}=I_{e}V_{e}\cos \phi }が成り立つ。

このcosϕ{\displaystyle \cos \phi }力率という。


一般に、交流に対してS=IV{\displaystyle S=IV}皮相電力(単位:VA{\displaystyle \mathrm {V\cdot {A}} })、Q=IVsinϕ{\displaystyle Q=IV\sin \phi }無効電力(単位:var{\displaystyle \mathrm {var} })、P=IVcosϕ{\displaystyle P=IV\cos \phi }有効電力(単位:W{\displaystyle \mathrm {W} })という。

sinϕ{\displaystyle \sin \phi }を力率に対して無効率という。

有効電力は素子の消費電力であり、無効電力は電源と素子を行き交う電力である。素子では無効電力の消費と発生を繰り返している。

皮相電力・無効電力・有効電力を図示すると、「斜辺が皮相電力ベクトル、対辺が無効電力ベクトル、隣辺が有効電力ベクトル」となる直角三角形ができる。この三角形を用いることで「力率を0.6から0.8に上げるためには、並列接続するコンデンサの静電容量は幾つがよいか」のような力率改善の問題を解くことができるようになる。


インピーダンス(Z)は一般に複素数であり、その実部をレジスタンス(R)、虚部をリアクタンス(X)という。このリアクタンスは上で扱ったリアクタンスと一致する。上で扱ったインピーダンスは正確には「インピーダンスの絶対値」である。

インピーダンスが複素数であることは、ベクトル図のxy平面を複素数平面に置き換えればイメージできるであろう。

インピーダンスの逆数をアドミタンス(Y)といい、その実部をコンダクタンス(G)、虚部をサセプタンス(B)という。

これら6つを纏めてイミタンスという。


インピーダンスの合成は複素数表示ならば「直列接続は各インピーダンスの総和」「並列接続は各インピーダンスの逆数総和の逆数」となり、容易に求まる。同様にアドミタンスの合成も複素数表示ならば「直列接続は各アドミタンスの逆数総和の逆数」「並列接続は各アドミタンスの総和」と求まる。

共振回路

RLC直列回路において、交流電圧の周波数が特定の値になったときに大きな電流が流れる。これを共振という。

共振が起こるときの交流の周波数(共振周波数f0{\displaystyle f_{0}}を求める。I0=V0Z=V0R2+(ωL1ωC)2

{\displaystyle I_{0}={\frac {V_{0}}{Z}}={\frac {V_{0}}{\sqrt {R^{2}+(\omega L-{\frac {1}{\omega C}})^{2}}}}}

である。角周波数ω

{\displaystyle \omega }

を変化させるとき、I0

{\displaystyle I_{0}}

が最大となるのはZ

{\displaystyle Z}

が最小値をとるときである。そのときの角周波数をω0

{\displaystyle \omega _{0}}

とおくとω0L1ω0C=0

{\displaystyle \omega _{0}L-{\frac {1}{\omega _{0}C}}=0}

すなわちω0=1LC

{\displaystyle \omega _{0}={\frac {1}{\sqrt {LC}}}}

f0=12πLC

{\displaystyle \therefore f_{0}={\frac {1}{2\pi {\sqrt {LC}}}}}

回路の電気抵抗が小さければ、交流の周波数が共振周波数に一致した際非常に大きな電流が回路に流れる。このような回路を共振回路という。

共振回路はラジオ・テレビの電磁波受信回路などに利用されている。

電気振動

直流電源にコンデンサC、コイルLを並列に繋ぎ、コンデンサの導線にスイッチを付けて直流電流側とコイル側の導線を切り替えられるようにする。スイッチを直流電源側に入れてコンデンサを充電し、その後スイッチをコイル側に入れて蓄えた電荷を放電させる。このとき、一定の周期で向きが変わる電流(振動電流)が流れ続ける。このような現象を電気振動、このような回路を振動回路という。

コイル・コンデンサのそれぞれに対して最大電圧と最大電流の間の関係式を立てると、VL0=ωLI0

{\displaystyle V_{L_{0}}=\omega LI_{0}}

VC0=1ωCI0

{\displaystyle V_{C_{0}}={\frac {1}{\omega C}}I_{0}}

並列接続なのでVL0=VC0{\displaystyle V_{L_{0}}=V_{C_{0}}}であり、ω=1LC{\displaystyle \omega ={\frac {1}{\sqrt {LC}}}}と求まる。

よって、この振動回路の振動の周波数(固有周波数)はf=12πLC{\displaystyle f={\frac {1}{2\pi {\sqrt {LC}}}}}と求まる。


電気振動ではコンデンサーの極板間に生じる電場とコイルに流れる電流の作る磁場との間でエネルギーが相互伝達する。

回路の電気抵抗が無視できる場合、以下のエネルギー保存則が成り立つ。12CV02=12CV2+12LI2=12LI02

{\displaystyle {\frac {1}{2}}CV_{0}^{2}={\frac {1}{2}}CV^{2}+{\frac {1}{2}}LI^{2}={\frac {1}{2}}LI_{0}^{2}}

実際には導線やコイルの電気抵抗によりエネルギー損失が発生(ジュール熱に変換)されるため、振動電流は時間を追うごとに減衰する。

回路の電気抵抗が非常に大きい場合、コンデンサの放電が一瞬で止まってしまい、電気振動が見られなくなる。

電磁波

波動分野原子分野も参照。

電磁波の発生と発見

イギリスのマクスウェルは電磁気についての理論研究から、変動する電場・磁場が真空中であっても光速の横波として伝わることに気づき、光もこの波の一種であるとの予想を立てた。これはドイツのヘルツによって証明された。この波は電磁波と名前がついた。

電磁誘導の節でも述べたが、金属のない空間であっても、磁場が変化するとその周りの空間に誘導電場を生ずる。逆に、電場が変化するとその周りの空間に誘導磁場が生じる。

振動回路に電気振動が起こると、コンデンサの極板間に振動電場が生じるので、これによって振動磁場を生ずる。この磁場がさらに振動電場を生じ・・・と繰り返すことによって、電気力線と磁力線の振動が電磁波として遠方へ伝わっていく。

電場・磁場それぞれの振動方向と電磁波の進行方向は互いに直交し、同位相で振動する。真空の誘電率・透磁率と光速の間には以下の関係式が成り立つ。c=1ε0μ0

{\displaystyle c={\frac {1}{\sqrt {\varepsilon _{0}\mu _{0}}}}}

電気振動によって生じた電磁波の振動数は振動回路の固有周波数に一致する。

電磁波の性質

電磁波の送信アンテナと受信アンテナを平行にすると電磁波をよく受信する。しかし、直角にすると受信しづらくなる。これは、電磁波が一定方向に偏って振動する横波であることを示す。

FM放送(超短波)とAM放送(中波)ではAMの方が山影に電波が届きやすい。これは、波長が長いほど回折しやすいという波の性質に一致する。また、回折波が干渉を起こす場合がある。

トンネルの中はAM放送も受信しにくくなる。このように、電磁波は遮蔽される性質がある。

電磁波が金属板によって反射される性質は、衛星通信用のマイクロ波パラボラアンテナに応用されている。(高等学校数学C/平面上の曲線#焦点の性質も参照)

電磁波をパラフィンなどの面に斜めに当てると、電磁波は屈折を起こす。

電磁波の種類

  • 電波:波長0.1mm以上のもの。1m未満のものはマイクロ波ともいう。
  • 赤外線:物質に吸収されると熱エネルギーに変わりやすいことから熱線とも。
  • 可視光線:人間が感光できる光。
  • 紫外線:照射した物質に化学変化を起こさせやすいことから化学線とも。
  • X線:レントゲン写真に使われる。
  • γ線:非常に大きいエネルギーを持つ。

鉄の温度を上昇させると赤熱する(鉄火)。このように、高温物体からは赤外線・可視光線を主とする電磁波が放射されている。この現象を熱放射という。

注釈・脚注

  1. ^ 2つのコンデンサーの間の電荷保存則より、2つのコンデンサーが蓄える電荷は等しい。
  2. ^ コンデンサーの合成電気容量の式の形は、抵抗の合成抵抗のものと、直列・並列が逆になっている。
  3. ^ 磁石の磁荷は、正の磁荷と負の磁荷は必ずセットで存在する。電荷のように、正の磁荷だけが存在することはないと考えられている。単体で存在する正あるいは負の磁荷を磁気単極子という。磁気単極子は今まで観測されたことがないが、物理学上の仮説である大統一理論によれば、磁気単極子が存在することが予想されている。
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